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「社会の一員としての教育」充実を

民法改正案「18歳成人」を国会に提出


成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正案が3月13日、閣議決定を経て国会に提出されました。成人年齢が変更されれば、1876年(明治9年)以来、約140年ぶりとなります。

政府は2022年4月1日の施行を目指し、それまでの約4年間は周知期間に充てたいとしていますが、若者の自立支援など環境整備が不十分との指摘もあり、不安の声が少なくないのも事実です。今後、混乱を最小限にすべく国会でさらなる対策を議論する必要があると思います。

むろん今回の法改正が、若者が成人としての自覚を持って、積極的に社会参加する契機になるのであればそれは望ましいことです。国際的にも、米国の多くの州や英国、フランス、ロシア、さらに中国も18歳を成人年齢と定めており、成人年齢の引き下げは世界的な潮流と言っていいでしょう。

日本でも、すでに選挙権年齢を18歳に下げる公職選挙法が15年に成立しており、成人年齢も引き下げになれば、18〜19歳の社会的責任がいっそう重くなることになります。

改正民法の施行後は、「成年」「未成年」で区別した約130の法律について、その適用年齢が自動的に18歳に引き下げられます。資格や免許などに関する法律も影響を受けます。現行法で16歳以上と定められている女性の結婚年齢は男性と同じ18歳に引き上げられます。

一方で、飲酒や喫煙、競馬などの公営ギャンブルは20歳未満の禁止が維持されます。成人としての自覚を求める声がある一方、「非行を助長する」「健康への悪影響を考慮すべき」といった青少年保護の視点は無視できず、判断は妥当でしょう。

現在、18、19歳の半数以上は学生ですが、それが成年となれば「親権」から離れることになります。そのため、ローン契約や消費者金融からの借り入れも可能になり、悪徳商法の被害にあう若者が増えるのではとの指摘もあります。

今後は、関係する法律の検討、整備はもちろん、成人には社会を支える一員としての権利と同時に義務も発生するという、「主権者教育」「シティズンシップ教育」を学校現場で充実させなければなりません。

(S)

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