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次世代育成に資する本格的「家族政策」を


少子化高齢化が進み、子供の数が減少し続けているにも関わらず、凄惨な虐待事件が相次いでいます。平成27年度に、全国208カ所の児童相談所(児相)が児童虐待相談として対応した件数は、10万件を超えて過去最多、25年前の100倍にもなっています。

昨年、全国の警察が虐待の疑いがあるとして児相に通告した数は、より深刻なケースも初めて5万人を突破、これも過去最多となったことが警視庁のまとめで分かりました(3月9日)。

暴言などの「心理的虐待」が7割を占め、中でも子供の前で配偶者などに簿力を振るう「面前DV」が増加しています。「心理的虐待」は、体は傷つけないものの、成長途上の子供の脳に深刻なダメージを与えることが分かっています。

急増する児童虐待に対応するため、政府は3月7日、司法の関与を強化する児童福祉法などの改正案を閣議決定しました。家裁が、保護者を指導するよう都道府県や政令市を通じて児相に勧告。裁判所のお墨付きを得て、児相が保護者とのトラブルに対応できるようにしようとするものです。

少子化により子供が減り続ける一方、家庭の愛情機能が崩壊し、深刻な児童虐待が増え続けているという現実。これは子供と国の未来を奪うもので、現在わが国が直面している最も本質的で、深刻な危機と言ってよいでしょう。

憲法25条1項は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」としています。「健康で文化的な最低限度の生活」は「健康で文化的な家庭」を基盤として初めて保障されるのではないでしょうか。

現在のように問題が起こってから事後的に対応するのではなく、各家庭が「健康で文化的な家庭」を形成できるよう行政や地域社会が予防的に家庭支援を行うとともに、健全な家庭形成と次世代育成に資する本格的な家庭支援のための「家族政策」こそ、今必要とされているのです。(N)

(ファミリープロミス メールマガジン 2017年3月18日第304号より)

次世代育成に資する本格的「家族政策」を

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