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「恋愛より結婚」 若者に意識変化

「お見合い結婚が少子化対策に」との意見も


日本創成会議(座長:増田寛也元総務相)が2014年5月、全国自治体の過半数にあたる896市区町村が40年には消滅の可能性がある(消滅可能性都市)と指摘、大きな衝撃を与えました。これは、13年に公表された地域別将来推計人口をもとに予測したものです。

読売新聞社は、最新の地域別将来推計人口(18年公表)をもとに再度分析し、その結果を今月公表しました。それによれば消滅可能性都市とされた896市区町村のうち、約8割の自治体(713自治体)で人口減少がより加速することが明らかになりました。

地方における人口減少は、少子化と東京など都市部への若者の人口流出に起因しています。少子化は主に若者の未婚化・晩婚化によるものです。これらに対する抜本的な対策が講じられなければ、地域社会の崩壊が地方から進み、最終的には日本全体が沈没することになります。

結婚相談所「パートナーエージェンシー」が行っている「結婚観」に関する調査によれば、生涯未婚率が上昇している一方、若者の結婚願望は近年むしろ上昇傾向にあります。「結婚したい」と回答した新社会人は、12年で79.3%だったのが、15年85%、17年91.8%、18年には95.5%にも達しています。

同調査では、結婚していない人を対象に「現在未婚でいる理由」も聞いていますが、40代、50代の男女とも「出会いがない」が1位、男性では「経済的理由」も高くなっています。

これと関連し、5月6日放送のTV番組「林先生が驚く 初耳学!」では、人気予備校講師の林修氏が「日本の未婚率の上昇」について講義し、「日本人は恋愛結婚にこだわりすぎ」との持論を展開しました。「わずか60〜70年前まで恋愛結婚は全体の13.4%、お見合い結婚69%で生涯未婚率はわずか1.5%だった」。現在は恋愛結婚87.9%、お見合い結婚5.3%で生涯未婚率が20.1%にまで上昇。「お見合い結婚が減った分、未婚率が上がっている」ことから、両者には相関関係があるとして「お見合い結婚は少子化対策になる」と結論づけています。

お見合い結婚の減少に伴って離婚率も上昇しています。お見合い結婚では「家と家とのつながりで生まれた夫婦だから別れにくい」と、離婚を防ぐ意味でもお見合い結婚がよいと、利点を強調しています。

恋愛の自由ではなく、お見合い結婚の良さをテレビで強調していたのは、恋愛より結婚を望む若者の意識変化の反映かもしれません。結婚や家庭を築くことの意義や価値をもっと情報発信し、公教育でもしっかりと教育することが大切でしょう。

同時に、地方での人口減少に歯止めをかけるには、明治以来の中央集権的な統治機構を抜本的に見直すこと。東京一極集中をなくして分権化を促すこと、思い切って「道州制」を導入することも検討すべきです。

(N)

「恋愛より結婚」 若者に意識変化

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