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「韓」察眼~現地日本人記者が見つめる韓国社会〜 Vol.16

最低賃金の引き上げは「薬」よりも「毒」?

政府系シンクタンクが「失業者増」の副作用指摘

text by 早田亮


韓国のシンクタンク、韓国開発研究院(KDI)が、政府系機関としては初めて最低賃金の引き上げによる副作用を指摘する報告書を発表した。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が公約通りに2020年までに最低賃金を時給1万ウォン(約1020円)に引き上げた場合、人件費の負担増から最大で約32万人が職を失う可能性があると予測。「最低賃金の引き上げには速度調節が必要だ」との立場を示した。

韓国では、1月に最低賃金が16.4%引き上げられ、時給7530ウォンになった。ここ5年間の平均(7.4%)を大幅に上回る上昇率だ。時給1万ウォンを実現するには、毎年15.3%のペースで引き上げる必要がある。その場合、労働者全体の賃金の中間値に対する最低賃金の割合は68.0%に達するという。これは、経済協力開発機構(OECD)加盟国中で最も高いフランス(61.0%)を大きく上回る数字だ。

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最低賃金の引き上げは「薬」よりも「毒」?

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