近代民主主義の基礎をなす「信教の自由」
近代民主主義の基礎をなす「信教の自由」
この度、梶栗正義議長から任を引き継ぎUPF-Japanの議長に再就任しました。
私は、日本議長としての活動を終えた後、ロシア・東欧圏のUPF議長としてモスクワに赴き、さらには欧州・中東議長として合計10年近く活動をしてきました。
この間、欧州、中東圏の多くの政治指導者、宗教指導者、学者の方々などと交流を進めることができたことは大変幸いでした。特に、バルカン半島諸国においてUPFの基盤拡大が著しく発展したことは嬉しいことでありました。また、欧州全域における活動の基盤を考えると、UPFをEU(欧州連合)に登録することが必要との声を受け、その交渉も進めてまいりました。
欧州とは全く環境の異なる日本ですが、日本の発展や世界平和のためのUPFの役割はますます大きくなっていますので、皆様のご協力のもとに、スタッフとともに頑張っていく所存であります。よろしくお願いいたします。
さて、現在の近代民主主義制度は、英国の政治家チャーチルが喝破しているように、完全無欠な最高の政治形態ではないにせよ、今までの歴史的政治制度の中では最も優れた制度と言えます。ご存知のように、この民主主義を構築するための歴史は簡単なものではありませんでした。今日なお、民主主義は改善を繰り返しています。
西洋民主主義が「キリスト教世界と啓蒙主義を母体として発展したもの」(ジョン・W・デ・グルーチー著『キリスト教と民主主義』新教出版社、64頁)であることは否定できません。そして、民主主義を求める過程は「国家の統制からの教会の自由、あるいは教会の統制からの国家の自由を求める戦いが結局は民主主義を求める戦いの本質的な側面となった」同70頁)のです。
詳細は避けますが、民主主義の基礎には何人にも侵されない「信教の自由」があります。国家は新しい宗教運動に対して寛容であり、宗教運動は自律的に自己管理をすることが求められます。そのようにして、寛容で優しい社会や安定した家庭が形成されるのです。信教の自由を失えば、人々は非寛容となり社会生活はギスギスしたものとなります。
そのような点で、世界平和統一家庭連合への解散命令請求は、今後の日本における宗教政策の大転換であり、民主主義の基礎を揺るがす問題であり、日本の未来に暗い影を落とすことにならないかと案じています。日本と世界の明るい未来を切り開いてまいりましょう。
※2024年6月号世界思想より