世界思想

宗教法人法の目的は「信教の自由」の促進

aap_heiwataishi

宗教法人法の目的は「信教の自由」の促進

わが国の文化や歴史、そして日本人の精神性に関して、これまで多くの「日本論」が語られ、著されてきました。それらは、「縮み思考の日本人」「日本の常識は世界の非常識」「タテ社会の人間関係」—といったキーワードとともに、時代状況に応じて注目を集めました。中でも、戦後の廃墟の中から立ち上がり、世界に冠たる経済発展を遂げた日本の姿は、世界中の学者やジャーナリストの格好の研究対象でした。

他方、海外の思想やシステム、あるいは文化を受容する際、日本人は大変巧みにそれらを「日本化」してきました。例えば、漢字の伝来以後、その音を用いて日本語を表記する万葉仮名が生まれ、それは後にひらがなとカタカナに発展しました。さらに、漢字の意味を日本固有の事象や文化に合わせて解釈した訓読みが生まれたと言われます。仏教、儒教などもそうです。「日本文化」と言われるものの中には、実際には日本に起源を持たないものが数多くあります。それらは、編集工学者として知られる松岡正剛氏の『日本文化の核心』(講談社現代新書)の中に詳しく論じられています。私見ですが、私はこの「日本化」こそ、日本独自の文化を築き上げてきた主たる要因であると思っています。

一方、理解が不十分のまま受容してしまった例もあります。特に、西洋文化や思想に関して顕著といえましょう。例えば、戦後、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)が作った日本国憲法にそれがよく表れています。

宗教法人法に関しても同様です。1951年に制定された宗教法人法の趣旨と目的について、GHQ担当者で同法の成立を助けたウィリアム・ウッダードの言葉を借りれば、それは「宗教界の発展のためであり、政府に依存してきた宗教界が政治から自立し、宗教を一層の発展させるため」でありました。そして、「自らの信仰が『人の命令』より遥かに高いものであることを理解してほしい」と強調し、政府や官僚には道徳や宗教を理解する者がいないことを喝破していたのです。

しかし、当時の日本人には、このウッダードの言葉が理解できなかったのかもしれません。それは、アメリカという国の根底に流れている、「信教の自由」を求めてきたキリスト教徒の歴史や信仰も理解できなかったからでしょう。ゆえに現在に至るまで、政府は常に宗教団体を国家の道具として管理統制してきた戦前の宗教団体法に戻ろうとする誘惑に引きまわされているようです。

信教の自由は人間の本源的な欲求であり、欧米において多くの犠牲の上に獲得されてきたものです。それを無視しようとする現在の日本政府に対し、アメリカやヨーロッパから「民主主義と自由主義を破壊する国家にならないでくれ」といった声が出てくることは当然でしょう。今こそ、世界に誇れる美しい日本をつくり出したいものです。
(『世界思想』2025年4月号)

記事URLをコピーしました