世界思想

旧優生保護法が示す神を離れた思想と理念の危険性

aap_heiwataishi

旧優生保護法が示す神を離れた思想と理念の危険性

さる7月3日、最高裁判所大法廷は「旧優生保護法は違憲」として、国の賠償責任を認める判決を出しました。この最高裁判決は新聞・テレビで大きく報道されました。優生保護法という驚くべき法が存在したことに多くの若者は驚いたかもしれません。この優生保護法の背景には思想的背景が色濃くありますので、その点を理解する必要があると考えています。

ヨーロッパの近世400年の歴史は「神からの離反の歴史」「宗教否定に向かう歴史」ともいえます。カトリック教会への反発から、プロテスタントが生まれ、思想的にも「神に従う」という中世への反発から「神を疑う」という方向に歴史が動いていったのであります。それはドイツの哲学者フォイエルバッハ(1804〜72年)の「神が人間を作ったのではなく、人間が神を作った」という言葉に象徴されます。

その後、カール・マルクス(1818〜83年)の徹底的な無神論の上に共産党宣言を書きました。彼は「宗教は民衆のアヘンである」と唱えました。それ以外にも当時のヨーロッパ、そしてその後の世界(現在も)に大きな影響を与えた思想があります。それがチャールズ・ダーウィン(1809〜82年)の進化論です。神の創造を進化という言葉に置き換えて、「適者生存の法則」を科学的見知として訴えました。ダーウィンの考えは科学的真理として認定されたものではありませんが、その影響は多大なものがあります。

問題はそれを社会に応用した「社会的進化論」です。適者生存の考えを人間社会に応用すれば、適応できない人々は滅んでいくということになり、勝者とされる人のみが生き残るという考えが広まることになります。この考えに従えば、身体障がい者や精神疾患がある人々は「適者」ではなくなります。

さらには、「遺伝的に適者になれない人は、生まれないようにする」ということになりま

す。それが優生保護法であります。この考え方は20世紀に入ってアメリカで法律化され、それを学んでヒトラーのナチスが「適応できない人々」の虐殺を行いました。そのドイツ型の優生保護法を基に、日本でも第2次大戦後に旧優生保護法が作られました。

神を離れた思想や理念の危険性は、人間観によく現れます。進化論のように「人間は高度に進化した生物」…と言うだけでは人間の尊厳を引き出すことはできないでしょう!「労働が人間の類的本質」と言うマルクスの労働価値説からは人間の本質的価値を理解することは不可能です。これらの思想が多くの人々を死に追いやってきました。

UPFはこれらの思想や理念に反対します。そして、創設者の文鮮明・韓鶴子総裁夫妻の深い宗教心から発する、高度な人間観と世界観がUPFの基本理念であり、運動の基礎となっています。

※2024年8月号世界思想より

関連映像はこちらからご視聴していただけます

【Chair’s Message Vol.1】19世紀西欧の思想潮流と価値観そしてUPF創設者の理念関連映像はこちらからご視聴していただけます

記事URLをコピーしました