保守とリベラルはどちらが幸福か?〜「アメリカ家族調査」が示すもの〜
保守とリベラルはどちらが幸福か?〜「アメリカ家族調査」が示すもの〜

直近16年のうち12年におよんだオバマ・バイデン民主党政権では、「LGBTQ」に代表される極端にリベラルな政策が推進された。一方、トランプ新政権は「保守回帰」を鮮明にしている。
この変化は、米国民にどのような影響をもたらすのだろうか?
思想・信条が幸福度を左右する?
2024年に実施された「アメリカ家族調査」では、イデオロギーの違いによって女性の幸福度が大きく異なることが明らかになった。
18〜40歳の女性のうち、「人生に完全に満足している」と答えた割合が、保守的な女性の37%に対して、穏健(中道)は28%、リベラルな女性はわずか12%にとどまったのだ。この傾向は年齢、教育、人種、収入などの要因をコントロールしても変わらなかった。
逆に、「週に2、3回以上、孤独を感じる」割合をみると、リベラルな女性が29%と3割を上るのに対して、穏健派19%、保守は11%にとどまった。
実は2020年のピュー研究所の調査データの分析からも、18〜29歳の白人リベラル女性の56.3%がメンタルヘルスの課題を抱えているという結果が出ていた(保守は27.3%)。数字上は、保守的な女性の方が、精神的に健康な生活を送っているといえそうだ。
要因については、いくつかの考え方が存在する。一つは、リベラル女性の思想そのものに問題が潜むという考え方だ。リベラル女性は、世界を過度に否定的に捉え、無力感にとらわれる傾向がある。この「破局的」思想がメンタルヘルスに悪影響を与えるというものだ。
幸福を導く「宗教」と「家族」
一方、米家族問題研究所のグラント・ベイリーとブラッドフォード・ウイルコックスは、リベラル女性と保守女性との間で大きく異なる「社会的統合」のレベルに着目している。
同調査において、18〜40歳の女性で結婚している割合を見ると、リベラル31%に対して保守は51%と20ポイントもの差がついた。さらに教会に通っている割合では、リベラル12%に対して、保守は55%と、その差は43ポイントに達する。
ベイリーとウイルコックスによれば、結婚と宗教は、生活の意味、方向性、連帯感を与えてくれる「米異国の中核的な制度」だ。これらから距離を置くことで、リベラル派の女性の孤独感は増し、幸福から遠ざかる結果をもたらしているという。
トランプ新政権は宗教・家族を重視している。この保守回帰が、米国人女性の幸福度を高めることを願うばかりだ。