トランプ新政権とキリスト教精神の復興

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トランプ新政権とキリスト教精神の復興

1月20日、世界の首都と言われるアメリカのワシントンDCで、ドナルド・トランプ氏の第47代大統領就任式が厳寒の中で開催されました。就任演説で新大統領は、自らの価値観に基づく今後4年間の政策の基本的枠組みを発表しました。その最も大きな変化は「価値観の転換」ではなかったかと感じます。

一例を挙げれば、キリスト教国家としてのアメリカの基本的アイデンティティー(同一性)を強調し、「ジェンダー(性)は男と女しかない」と明言したことです。旧約聖書・創世記の最初にある「神は人を自分に似せて創造され、男と女に創造された」という聖句に国を戻したとも言えましょう。現在、前民主党政権下で過激化したジェンダー・イデオロギーが見直され、アメリカ政府や軍隊を含めて政策の転換が進められています。そして、過剰な不法移民を出身国に強制送還する措置も採られています。これらの方針に対し、「歴史の流れに逆行している」との意見がある一方で、「普通のアメリカに戻そうとしている」と理解する人々も多くいるのです。

人類愛から、難民や移民を無制限に受け入れれば、社会の混乱と、現地の貧しい人々の不満を生むことになります。不法移民や難民が自分たちの仕事と富を奪っているということになるからです。こうした無制限・無規制の移民受け入れがフランスやドイツで大きな社会問題になっていますが、これらの現象はヨーロッパのみならず、世界の他の地域でも見ることができます。この問題をどのようにコントロールするかは目下、各国政府の重要な政治的課題となっています。

多数決が原則の民主主義下で、少数者に配慮することはもちろん大切ですが、それが行き過ぎると「少数派の横暴」を招くことになり、逆に不平等を生みかねません。例えば、徴兵制を採用する国で男女平等を完全に実現するためには女性の徴兵が必要となります。それを女性が拒否すれば「逆の不平等」との声が上がるからです。

トランプ氏はこれらの「行き過ぎたアメリカ」を、キリスト教精神に基づく「古き良きアメリカ」に戻そうとしているのでしょう。1945年に第2次世界大戦に勝利して、世界のスーパーパワーとなった時代にアメリカを戻すには相当なエネルギーが必要です。

時代は急速に変化しています。できれば、そのキリスト教精神で45年以後、日本に教え、導入した「信教の自由」の重要性を日本に再度教えてほしいものです。岸田政権が2022年に出した世界平和統一家庭連合に対する解散命令請求は、アメリカでも多くの宗教人や政治家のひんしゅくを買っています。明らかに信教の自由の否定だからです。クリスチャンである石破茂首相はこの問題をどのように説明するのでしょうか。
(『世界思想』2025年4月号より)

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