#6 「一切皆苦」と「四諦」

aap_heiwataishi
いまさら聞けない「仏教の基礎知識」

#6 「一切皆苦」と「四諦」

Q
UPF-Japan事務総長 | 魚谷俊輔

1964年生まれ。千葉県出身。東京工業大学工学部化学工学科卒。95年に米国統一神学大学院(UTS)神学課程を卒業。2000年に日本に世界平和超宗教超国家連合(IIFWP)が創設されるにともない、事務次長に就任。05年より、国連NGO・UPF-Japanの事務次長、17年8月より同事務総長。

\ contents /

いまさら聞けないシリーズ

日本基督教史
神道の基礎知識
仏教の基礎知識
北朝鮮問題

「般若心経」の解説の続きです。「般若心経」の中で一番有名な一節が、「色即是空 空即是色」(しきそくぜくう くうそくぜしき)です。「色はすなわちこれ空 空はすなわちこれ色なり」ということですが、これを中村元という現在仏教学の大家が現代日本語に直したものが、「(このようにして、)およそ物質的現象というものは、すべて、実体がないことである。およそ実体がないということは、物質的現象なのである」となります。一般人の感覚からすれば、どっちなのかよく分からないということになるだろうと思います。これを通して何を言いたいかというと、実は「諸行無常」ということが言いたいわけです。われわれが普段執着している物質的現象というものも、実は人間がこだわるほど堅固なものでも、永遠のものでもないから、そういうものに対するこだわりを棄てましょう、ということが要するに言いたいわけです。

さて、仏教の基本的な世の中に対する認識とは何であるかというと、世の中は苦に満ちているんだということで、「一切皆苦」(いっさいかいく)ということが世界認識の出発になります。よく「四苦八苦」と言いますね。これは仏教の用語でありまして、まず基本的な「四苦」があります。これは、生きる苦しみ、老いる苦しみ、病の苦しみ、死の苦しみのことを言います。

さらに、「愛別離苦」(あいべつりく)は愛する者と別れる苦しみ、「怨憎会苦」(おんぞうえく)は憎んでいる対象と出遭ってしまう苦しみ、「求不得苦」(ぐふとっく)は欲しいものを得られない苦しみ、「五蘊盛苦」(ごうんじょうく)は心身機能から盛んに起こる苦しみ、すなわち煩悩が心から湧いてくることによる苦しみのことです。これらを合わせて「四苦八苦」ということで、人生は苦悩に満ちているということが教えの出発点になっています。

それに基づいて、仏教の基本認識である「四諦」(したい)というものが出てきます。一つ目が「苦諦」(くたい)でありますが、これは問題提起に当たりまして、この世界は苦しみの世界なんだということです。「四苦八苦」と言われるように、世の中は苦しみに満ちているということです。その次に「集諦」(じったい)というものがあり、それでは苦しみの原因は何かというと、それは執着することであり、煩悩があるから苦しむんだということになります。これが集諦の段階です。その次が「滅諦」(めったい)で、苦しみの原因が煩悩にあるのだから、その煩悩を滅すれば、苦は断たれるんだということです。このようにして解決方法を示すわけです。それではその煩悩を断つにはどうすればよいかと言えば、これが「道諦」(どうたい)ということで結論になります。それは実践が必要だということです。正しい修行をして悟りに至ることによって、苦から解放されるということです。この流れは、極めて合理的としか言いようがありません。

記事URLをコピーしました