いまさら聞けない「仏教の基礎知識」

いまさら聞けない「仏教の基礎知識」 第29回

現代日本の仏教①

text by 魚谷俊輔


日本の宗教人口における仏教の位置を『宗教年鑑』で調べてみると、とても不思議な数字が出てきます。日本の宗教人口は、神道系の信者が1億77万人、仏教系の信者が8471万人、キリスト教系が192万人、諸教を合わせて949万人で、これらを全部合わせると1億9689万人になります。これは日本の総人口を大きく上回っています。

これを見て一目瞭然で分かるのは、神道の信者の数がほぼ日本の人口に匹敵するくらいいるわけです。これは誰に聞いて統計を取ったのかというと、宗教法人に信者の数を自己申告してもらうわけです。そうすると神社本庁がものすごい数を申請しますから、日本人のほとんどはどこかの神社の氏子になっているということになるので、この数になるわけです。仏教の場合には8471万人ですから、日本の総人口の約7割が仏教徒であるということになります。これは、宗教法人に聞くからこういう数字になるのです。

それでは個人に聞くとどうなるかというと、統計数理研究所というところが「あなたは何か信仰や信心を持っていますか?」という調査を個人に対して行ったところ、72%の日本人が「持っていません」と答えたというのです。「持っている」と答えたのは28%でした。さて、先程のデータでは、日本人の7割が仏教徒であるはずでした。ところが、日本人で信仰そのものを持っている人は28%しかいないのです。神道に至ってはもっと信者数が多いわけですから、日本の神道と仏教は、宗教法人側では信徒だと思っているのに、本人には信者であるという自覚がない者が非常に多い宗教である、ということが大きな特徴であることが分かります。この辺は諸外国と大きく違うところです。

NHKのISSP国際比較調査(2008年)というのがありまして、「あなたが親しみを感じる宗教は何ですか?」と聞いたところ、仏教は65%で断トツ一位でした。その次が神道(21%)、キリスト教(13%)となります。このことから、仏教は日本人にかなり親しみを持たれている宗教であるということが分かります。

(魚谷俊輔/UPF-Japan事務総長)

㉙現代日本の仏教①

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