いまさら聞けない「仏教の基礎知識」

いまさら聞けない「仏教の基礎知識」 第7回

「八正道」と戒、定、慧の「三学」

text by 魚谷俊輔

仏教の教えの実践方法を具体的に示したのが、「八正道」(はっしょうどう)と呼ばれるものです。これも非常に有名な仏教の根本的考え方です。①正しく見る②正しく考える③正しい言葉を語る④正しい行いをする⑤正しい生活をする⑥正しく努力する⑦正しく反省して決意する⑧正しい目標に集中して精神統一する——というのが八つの正しい道なのだというのですが、どれもごく当たり前のことです。なにか神秘的なこととか超自然的なことは一切ない、正しく生きればいいんだということを教えているわけです。ですから、これは本当に宗教なのかなと思うくらい、合理的で、哲学的で、英語でいうと、とてもシステマティックな教えであることが、お釈迦様本人の説いた内容を勉強してみると分かるわけです。

仏教の結論は、修行すれば解脱できますよ、悟りの世界に至れますよ、ということなんですが、その修行にも、こういう方法でやれば解脱できますよ、という方法論まできちっと整理されています。それを「三学」と言います。

修行の第一段階は何かといえば、「戒(かい)」です。戒めをまず守らなければなりません。あれをしちゃいけない、これをしちゃいけない、という戒めがあります。欲望の赴くままに生きていたのでは解脱できないですから、最初に戒めを守りなさいということです。仏教の戒めには、五戒、八斎戒、十戒、具足戒などがあります。こうした戒めをまず守りましょうということです。それを守ることで、次のステップである「定(じょう)」の修行に入る準備が整うということになります。

次の段階は「定(じょう)」ですが、これは瞑想のことです。ヨーガとか禅と同じ意味です。精神を統一し、心を乱さず、寂静の境地に入ることで、瞑想をすることが修行の重要なステップになっています。その瞑想をしているうちに、ステップ3の「慧(え)」の段階に進んでいきます。これは、段階を踏んで智慧を完成させることを言います。仏教でいう智慧とは、一切の現象や、現象の背後にある理法を知る心の作用のことをいいます。

つまり、欲望から解放されて、瞑想をして、深く心が澄んでくると、世の中がどういう原理によって動いているのかが悟れるようになるということです。このようにして悟りに至りましょう、ということをお釈迦様は教えられました。

(魚谷俊輔/UPF-Japan事務総長)

⑦「八正道」と戒、定、慧の「三学」

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