いまさら聞けない「仏教の基礎知識」

いまさら聞けない「仏教の基礎知識」 第28回

明治期以降の仏教

text by 魚谷俊輔


明治維新によって江戸時代が終わりを告げると、明治政府は「神仏分離令」というものを出します。なぜ神仏を分離するのかといえば、皇室の宗教が神道だからです。その神道に仏教という外来の宗教が混ざっていてはいけないということで、それまで千数百年間にわたって仲良くやってきたのを、いきなり「切り離せ!」と言ったわけです。そうすると、「神社の中にある仏像・仏画や仏具は取り除くべし!」という指令が出されたわけです。それを民衆は勘違いして、各地で仏教の寺院や仏像、経典を破壊する運動が起こりました。これを「廃仏毀釈」といって、数年で収まったものの、これによって多くの文化財が失われました。基本的にはこのときに神社とお寺が政府によって人為的に分けられたということです。

 

それでは現代はどうなっているかというと、いま日本の仏教には13宗56派があると言われています。時系列的にいうと、奈良系が一番最初に生まれ、華厳宗(1派)、法相宗(1派)、律宗(1派)があります。その後に天台系と真言系が続きます。天台宗は3派、真言宗は9派に分かれております。その次に浄土系が来て、浄土宗(4派)、浄土真宗(10派)、時宗(1派)、融通念仏宗(1派)がこのグループに入ります。さらに禅系が続きまして、臨済宗(14派)、曹洞宗(1派)、黄檗宗(1派)がこれに入ります。そして日蓮宗の9派を加えると、13宗56派になるというわけです。これが現代日本の仏教の基本的なマップということになります。

 

それではこれらの宗派の勢力はどのようになっているのでしょうか? 『宗教年鑑』という資料がありまして、それによると、大きく5つのグループに分けて比較するとこのようになります。浄土系が1712万人の信者を擁し、全体の37%を占めています。日蓮系が1326万人の信者を持ち、28%を占めています。真言系が922万人で20%、禅系を二つ合わせても315万人で7%、天台系が312万人で7%、奈良系が71万人で1%ということになります。信者の数からすれば、浄土系が一番大きいことになります。

一方、お寺の数はやっぱり浄土系が多いんですが、信者の数に比べると、禅系はお寺の数が非常に多いことが分かります。

(魚谷俊輔/UPF-Japan事務総長)

㉘明治期以降の仏教

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