#2 神道における神

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いまさら聞けない「神道の基礎知識」

#2 神道における神

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UPF-Japan事務総長 | 魚谷俊輔

1964年生まれ。千葉県出身。東京工業大学工学部化学工学科卒。95年に米国統一神学大学院(UTS)神学課程を卒業。2000年に日本に世界平和超宗教超国家連合(IIFWP)が創設されるにともない、事務次長に就任。05年より、国連NGO・UPF-Japanの事務次長、17年8月より同事務総長。

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神道は日本の風土から生まれた日本固有の民族宗教ですが、「神道」という言葉そのものは、もともと中国から伝わった中国語です。中国の文献におけるこの言葉の初出は『易経』に見られ、「霊妙不可思議な自然の法則」という意味で用いられています。この言葉が古代に中国から伝わり、日本語になったのです。

日本の文献におけるこの言葉の初出は『日本書紀』に見られます。

「(天皇は)仏法を信けたまひ、神道を尊びたまふ」(用明天皇即位前紀)
「(天皇は)仏法を尊び、神道を軽りたまふ」(孝徳天皇即位前紀)

というような形で登場するのですが、「仏法」は「ほとけのみのり」と読み、「神道」は「かみのみち」と読みます。用明天皇は神道を尊んだけれども、孝徳天皇は神道を軽んじたというような記録として出てくるわけです。ここでは、「仏法」に対比して「神道」という言葉が使われていることに留意する必要があります。『日本書紀』は外国に向けての公的な歴史書なので、外来の宗教である仏教と対抗する形で、土着の信仰を意味する「神道」という言葉が用いられたわけです。

『日本書紀』には「惟神(かむながら)は神道(かみのみち)に随(したが)うを謂(い)ふ」という記述もあります。「惟神」とは「神の御心のままであること」という意味であり、神々に由来する自然なあり方に従うこと、自然に即して生きることが神道の理想とされています。

それでは神道における「神」とはいかなる存在なのでしょうか? 江戸時代の国学者・本居宣長は神を「尋常でない霊威を発するもの」と定義しました。ここで、神道における神の特徴をまとめてみましょう。

①神の数は八百万:神道は、キリスト教やイスラム教のような一神教ではなく、多神教です。ここで言う八百万(やおよろず)とは、「非常に多くの」「無数の」という大雑把な数を表しているのであり、数学的な800万を意味しているのではありません。

②神は姿を表さない:神は山川草木などの自然物に宿りますが、特定の姿を持ちません。

③神とは畏敬の対象:古代の日本人は、疫病や災害の発生は神の祟りであると考えていました。神は尊ばれる存在であると同時に、畏れられる存在でもあったのです。

④一定の土地と結びつく:神道には、神がその土地と結びついて、その土地の「氏神」となるという考えがあります。超越的な一神教の神に比べると、特定の土地との結びつきが強いといえるでしょう。

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