いまさら聞けない「神道の基礎知識」

いまさら聞けない「神道の基礎知識」 第13回

三種の神器と神武東征

text by 魚谷俊輔


今回は記紀の神話の終わりの部分について解説します。記紀の神話の目的は、神々に関する物語が最終的に皇室に繋がっていることを示すことにより、天皇の正統性と権威を示すことにあります。そして、その神話の世界と皇室を結ぶ「証拠物」が、いわゆる三種の神器なのです。

三種の神器は、天皇が皇位の璽(しるし)として代々伝えた三種の宝物です。記紀の伝承によれば、天照大御神がこれら三種の神器を孫の邇邇芸命に与えたということになっています。その具体的な内容は以下のようになります。

三種の神器のレプリカ

①八咫鏡(やたのかがみ):これは伊勢神宮の御神体となっています。天の岩屋から天照大御神を引き出す方策としてつくられたものとされています
②天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)または草薙剣(くさなぎのつるぎ):これは愛知県名古屋市熱田区にある熱田神宮(あつたじんぐう)の御神体となっています。須佐之男命が八岐大蛇を退治した時にその尾から見いだされ、天照大御神に献上されたものとされています
③八坂瓊曲玉(やさかにのまがたま):これは皇居に保管されています

さて、記紀の神話の世界と皇室を結ぶ「物語」が神武東征です。これは、神倭伊波礼毘古命(カムヤマトイワレビコノミコト)(後の神武天皇)が、葦原中国を平和に治めるためのふさわしい地を求めて、日向を発って東に向かい、大和を征服して橿原宮で即位するまでを記した説話です。神武天皇は日本の初代天皇とされる人物ですので、彼によって天下った神々と歴代の天皇が連結されているといえます。

(魚谷俊輔/UPF-Japan事務総長)

三種の神器と神武東征

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