いまさら聞けない「神道の基礎知識」

いまさら聞けない「神道の基礎知識」 第1回

神道とは何か

text by 魚谷俊輔


今回から、「いまさら聞けない神道の基礎知識」と題する新しいシリーズの投稿を開始します。先週まで、「いまさら聞けない仏教の基礎知識」というシリーズを30回にわたって投稿してきましたが、その続きとお考えください。この連載の目的は、現代の日本人は伝統的な宗教の存在は知っていても、その教えの中身についてはほとんど知らないという実情を踏まえ、その基礎知識について学ぶことにあります。日本の伝統宗教の双璧をなすのが仏教と神道ですが、本当の意味で日本の土着の宗教と言えるのは神道であり、仏教は長い歴史は持つとはいえ、やはり外来宗教ということになります。

神道は日本文化の根底をなすものであり、私たちの生活に馴染んだものではありますが、その教えの内容について知的に知っているかと言えば、専門的に学んだ人でもなければ、その知識は極めて漠然とした曖昧なものではないでしょうか。そこで私なりにいろんな本を読んで勉強してまとめたものがこのシリーズになりますが、仏教の場合と同じく、あまり難しい専門書を読んでも分かりやすく解説することはできないので、入門用の易しい解説書を中心に調べました。

では、神道とはそもそもどんな宗教かについて、基本中の基本から説明します。神道は特定の個人が創唱した宗教ではなく、日本の風土から生まれた日本固有の民族宗教です。それは、自然のいたるところに神を感じる素朴な「自然崇拝」から始まったものです。神道は日本人の日常生活に深く根付いていおり、私たちは初詣などの年中行事、七五三などの人生儀礼、地域のお祭り、家庭における神棚などを通して既に神道を「体験」しているのですが、それを「宗教」としてあまり強く意識しないこともまた神道の特徴の一つです。キリスト教のように誰かから「伝道」されて「回心」することによって信者になるのではなく、生まれた土地の「氏神の氏子」になるという形で自然に信仰を継承することが多いと言えます。

それでは神道の中心的価値観が何であるかと言えば、「清明心(きよきあかきこころ)」です。これは、自然のように清らかで、他人に対して隠すことのない心、神に対しても欺くことのない心、つまり私欲がなく澄み切った、穢れのない心の状態を指します。神道においては、「穢れ」を諸悪の根源として極度に嫌います。ですから、「禊」と「祓い」によって穢れを取り除くことが神道の中心的な儀礼となるのです。

(魚谷俊輔/UPF-Japan事務総長)

神道とは何か

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