#27 敗戦と神社本庁の設立

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いまさら聞けない「神道の基礎知識」

#27 敗戦と神社本庁の設立

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UPF-Japan事務総長 | 魚谷俊輔

1964年生まれ。千葉県出身。東京工業大学工学部化学工学科卒。95年に米国統一神学大学院(UTS)神学課程を卒業。2000年に日本に世界平和超宗教超国家連合(IIFWP)が創設されるにともない、事務次長に就任。05年より、国連NGO・UPF-Japanの事務次長、17年8月より同事務総長。

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神職たちは、神社を宗教法人として存続させることを選択しました。昭和21年に宗教法人神社本庁が設立されると、神社本庁は宗教法人法のもとで、(伊勢)神宮を本宗と仰ぎ、全国約8万の神社を包括する団体となったのです。これによって神道は、国家によって賦与されていた特別な地位を失い、仏教やキリスト教と並ぶ諸宗教の一つとして日本に存続することとなったのです。

ここで、「国家神道」をどのように理解すべきかについて整理しておきたいと思います。国家神道は、宗教としての神社神道が政権を握って、権力によって自らの信仰を国民に強要したのではなく、むしろその逆であり、政府が国民の統合と教化のために伝統的な神社神道を利用したというのが実態であったと言えます。したがって、「国家神道」がもたらしたさまざまな弊害や問題を、神道そのものの罪過として非難するのは誤りであると言えるでしょう。

国家神道は、神道の長い歴史の中で見ればごく一時的な現象に過ぎませんでした。そして第二次世界大戦中は、ほぼすべての宗教団体が戦意高揚のために政府に利用されたのです。日本の伝統宗教はもとより、キリスト教も新宗教も大半はこれに順応したというのが事実です。政府に逆らったのは、大本やキリスト教無教会派など、一部の例外に過ぎなかったのです。その意味では、神道だけを特別に罪悪視することはできません。

神道が世界に誇ることのできる「普遍的価値」としては、以下のようなものを挙げることができます。

①清明心(きよきあかきこころ):私欲や穢れのない澄み切った心の状態を理想とする
②「禊」や「祓」によって清浄を重要視する
③自然の中に霊性を認め、畏敬をもって自然をみつめ、自然と共に生きようとする姿勢
④宗教的な視点から環境保全に対するメッセージを発信できる可能性
⑤祖先を敬い、感謝し、共に生きようとする姿勢
⑥人間同士の絆を深め、共同体として生きる姿勢

我々は、日本文化の根底をなすものとして神道を積極的に評価し、世界平和実現のために友好的で協力的な関係を構築すべきです。

(終わり)

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