いまさら聞けない「神道の基礎知識」

いまさら聞けない「神道の基礎知識」 第12回

神話に登場する神々

text by 魚谷俊輔


今回は記紀の神話に登場する神々を紹介します。先回紹介した五柱の「別天津神」や「神世七代」の神々は、天地開闢に関わった抽象的な神々であり、あまり人間的な姿をしていませんでした。その最後に誕生した伊邪那岐神と伊邪那美神からは、非常に人間らしい姿で生き生きとしたストーリーが描かれるようになります。

①伊邪那岐(いざなぎ)と伊邪那美(いざなみ)
多くの国土と神々を生んだ夫婦神で、最後は別れ別れになってしまうのですが、伊邪那岐は天空の父神となり、伊邪那美は大地の母神として人間の死を司ります。

②天照大御神(あまてらすおおみかみ)
伊邪那岐の子供で、伊邪那岐から高天原の統治を任された太陽神です。天照大御神は、神道の最高神とされており、神々の総支配神の立場にあります。皇室の先祖の神であるとされています。伊勢神宮の内宮に祀られている祭神です。
 
③月読命(つくよみのみこと)
伊邪那岐が生んだ三貴子の一人で、夜の国を統治することになった、月のような男性神です。平塚らいてうは「元始、女性は実に太陽であった」と言いましたが、女性である天照大御神が太陽神で、男性である月読命が月の神であるのが面白いところです。

④須佐之男命(すさのおのみこと)
須佐之男命は荒々しい乱暴な神で、「荒ぶる神」という言葉がふさわしい存在です。姉の住む高天原で乱暴・狼藉の限りを尽くし、それが原因で天照大御神は天岩戸に引きこもってしまいます。出雲では八岐大蛇(やまたのおろち)を退治する活躍をします。

⑤大国主神(おおくにぬしのみこと)
須佐之男命の六代目の孫にあたる神様で、「因幡の素兎」を助けた話で有名です。葦原中国を統治して国づくりに着手しますが、天照大御神が使者を派遣して大国主神に「国譲り」を要求します。大国主神の息子と建御雷神が力比べをし、その結果として出雲に宮殿を建てることを条件に国を譲りました。その宮殿がいまの出雲大社であるとされます。この物語は、九州の邪馬台国が武力によって出雲を併合した出来事を神話化したと解釈できます。

⑥邇邇芸命(ににぎのみこと)
天照大御神の孫にあたります。母は高天原の主導者であった高御産巣日神(たかみむすびのかみ)の娘であり、彼は芦原中国を継ぐべくして登場したエリートの神様でした。南九州の高千穂峰(宮崎県と鹿児島県の境)に降臨し、そこを拠点として統治の足掛かりとしました。神武天皇の曽祖父に当たります。

(魚谷俊輔/UPF-Japan事務総長)

神話に登場する神々

新着記事

  1. 世界思想Vol.61

PAGE TOP