いまさら聞けない「神道の基礎知識」

いまさら聞けない「神道の基礎知識」 第17回

神道の成立

text by 魚谷俊輔


今回から、神道が古代から現代に至るまで歩んできた歴史的な変遷を見ていくことにします。神道を日本の土着の信仰と定義するならば、それは縄文時代から存在していたということができますが、制度化された宗教として成立するのは律令体制が進んだ7世紀後半ということになります。したがって、それ以前の時代を「神道以前」と呼ぶことにします。具体的には、縄文時代から弥生時代までを指します。

縄文時代には、さまざまな神々が人々によって崇拝されていました。これは「カミ」と呼ばれる以前の、山や森や獣の精霊のような存在です。縄文人は狩猟採集民であったので、イカズチ(雷)の「チ」、コダマ(木霊)の「タマ」、物の怪(モノノケ)の「モノ」と「ケ」といった存在を信じていました。

やがて、鉄器と稲作技術を持った弥生人が移住してくると、日本は狩猟文化から農耕文化へと以降していきます。弥生時代の神は、「農耕神」といってよい存在でした。作物に豊穣をもたらす太陽神や農耕神を祀ることが信仰の中心となったのです。このときに神道の基盤が形成されました。皇室の重要な祭祀に 新嘗祭や大嘗祭などの稲作にまつわる儀式があることからも分かる通り、神道の基本には稲作があるのです。

今日「神道」と呼ばれる体系が確立したのは、律令体制が進んだ7世紀後半でした。この頃、大和朝廷は唐にならって律令制を導入し、奈良時代初期には「大宝律令」が施行されました。大陸にならって政治の面における制度が確立されるのと同時に、宗教的な制度も確立されていきました。当時は「祭政一致」であったため、政治と宗教は表裏一体であったと言えます。

ここで、古代の「神祇制度」の特徴をいくつか挙げてみましょう。

①神社の「社格」が定められる:有力神社は「式内社」と呼ばれ、ランク付けがなされました。
②神祇官が定められる:これは諸国の官社を統括管理するための国政の機関です。
③二十二社制度の確立:近畿地方を中心に、朝廷の特別の崇敬を受けた神社の社格のことです。
④神祇関連の法律の制定

(魚谷俊輔/UPF-Japan事務総長)

神道の成立

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